瞑想は恋するように【瞑想のやり方・よくある誤解・効果について】
ここ2〜3年、瞑想やマインドフルネス、座禅などに興味を持つ人が増えている肌感覚があります。なぜなら「瞑想ってどうやるの?」と普通の会話のなかで質問を受けることが増えたからです。
この記事では瞑想が気になる方、または何度か試してみたけれども習慣化できない方のために、瞑想の効果をお伝えします。さらに初心者の方が間違いやすいポイントもまとめます。
瞑想が習慣になったのは「自分にとって必要だから」
現在は、毎日瞑想している私ですが、ヨガとアーユルヴェーダの資格を取ったころは正直いって、あまり興味が持てませんでした。まだマインドフルネスという言葉が市民権を得る前でしたから、ヨガを教える立場にいながらも「瞑想ってちょっと怪しいかも?」と自分には縁遠いように思っていたのでした。
瞑想を「自分ごと」として感じるターニングポイントになったのは、ヨガを教え始めて数年経ったころ、森の中のヨガセンターに約1週間滞在した時です。
このときのヨガ研修中には、いろいろな瞑想のテクニックを体験しました。裸足で歩く瞑想、横になってやる瞑想、マインドフルに食事するなど、毎日ヨガだけでなく、かならず瞑想の時間がありました。
なかでも、最もシンプルなのに衝撃的だったのは、庭のベンチに静かに座る10分間ほどの瞑想体験です。
天気も最高で、風が爽やかな初夏の朝。ガイド役の先生の声に耳を傾け、静かに座りました。呼吸に意識を向ける基本的な瞑想だったと記憶しています。
10分があっという間に過ぎ、ベルの音でゆっくり目を開けたときの驚きといったら!
まるでモノクロの映画が急にテクニカラーになったような気持ち。
周りの木々の鮮やかな緑のグラデーション、日差しの空気感、目にするものすべてが瞑想前とはまったく違う景色に見えます。五感が鋭くなっていて、色も音も匂いも、肌に感じる風やお陽さまも、こんなに生き生きとしてるとは……心底、驚きました。
このとき、瞑想の奥深さを垣間見たことが、10年以上過ぎた今でも身体の感覚で思い出せるのです。これは人生を変えたといっても良い体験で、それからほぼ毎日、たとえ短時間でも、静かに座る時間を持つようにしています。
続いているのは、義務とか修行だからではなく、私にとって必要だからです。
瞑想・メディテーションとは?
さて、あらためて、瞑想とは何でしょう?
瞑想とは、ひとつのことに意識を向けること。静かにリラックスして注意を向けることです。
何に注意を向けるかは、時と場合でいろいろなテクニックがあります。どんな瞑想法でも、また流派や宗派にかかわらず、もっとも一般的で使いやすいのが、呼吸に意識を向けることです。道具なしで、いつ・どこでも瞑想やマインドフルネスを実践できますから。
瞑想・メディテーションの効果
マインドフルネスや瞑想の効果は、多岐にわたります。主なものをあげましょう。
集中力が高まる
思考が明晰になる
生産的になる
コミュニケーション力が上がり人間関係がよくなる
心の静けさが深まり、フロー状態を感じることができる
ストレスと上手くつきあえるようになる
洞察力と直感力が鋭くなる
人生全般で、ありのままに自分らしく、共感力を発揮できるようになる
変化に対して臨機応変に対応できるようになる
自分やものごと周りのひとに対する信頼感や肯定感が強まる
短期的で「ごりやく」的なものから、長期的に人生を変えるような変化まで、効果には幅があります。
初心者がやりがちな瞑想・メディテーションに対する誤解
なかでも初心者の方が誤解しがちな2点をまとめましょう。
誤解1 瞑想は苦行
身体が辛くない体勢で、数分間は楽に座っていられる姿勢をとります。床にあぐらをかく必要もなく、椅子でも良いです。楽に呼吸がとれるよう、背骨がすっと伸びるように気をつけましょう。
誤解2 瞑想の目的は心を無にすること
よくあるのが「瞑想は頭を空っぽにすること」できないのは瞑想できてない、という誤解です。
仏様や聖人ならいざしらず、凡人の私たちの場合は、雑念は想定内です。むしろ瞑想とは、考えや感情が浮かんだときに、それに対してどう意識を向けていくかということです。その行為そのものが瞑想のプラクティスなのです。
ちなみに私たちが生きている限り瞑想には完成形はなく、だから瞑想はパフォーマンスではなく、実践とかプラクティスと呼ばれます。
瞑想・メディテーションのやり方
さて、ここに興味深い研究があります。瞑想を極めるために毎日修行をしている僧たちの脳波のデータの研究です。
それよると修行を重ねた仏教僧でも、大きな物音がすれば気が散ることが検証されました。ただプロの瞑想家が私たちのような凡人と違うのは、「いま・ここ」に意識を戻すのが早く、またすぐ瞑想状態になれること。
ですから瞑想を始めたい方は、無理に雑念を消そうと頑張るのではなく、まずタイマーをかけて一日3分静かに座ることから試してみましょう。
何日か続けていくと心の中の独り言に気づきます。
「気が散って雑念が浮かんだな」と感じたその瞬間、また自分の呼吸に意識を向け「いま・ここ」に戻ってくる……その繰り返しが訓練なのです。
たとえれば、子犬をトレーニングするようなもの。
私たちの心は、目新しいものを見つけたら、すぐ飛んでいってしまう子犬のようだけど、あきらめず、落胆せず、怒らずに。「だめだよ戻っておいで」と優しく、何度もくりかえして訓練していく、それが瞑想です。
瞑想・メディテーションで最も大切なこととは?
これまで瞑想の効果と注意事項をまとめてきましたが、最後にいちばん大事なことをお伝えしましょう。
瞑想とは恋愛のようなものです。
どんなに人から話を聞いたり、本を読んだりしても、本当のところは理解できません。恋愛と同じで体験してみないと、だめなのです。
ワクワクしたり、辛かったり、苦しかったり…いろいろな体験をしながら、それでも「また会いたい」「あの時の気持ちに戻りたい」と感じさせるのが瞑想です。
そして瞑想を終えた日常のふとした瞬間、離れているときでも、その時の感覚が自分の心に、身体に残っているのを感じます。
毎日の積み重ねは、ちりも積もれば山となる。
いつしか瞑想なしでは落ち着かない自分がいます。
静かにリラックスして集中して座るという体験を毎日続けていくと、瞑想を1日でも忘れると、なんだか物足りない心持ちになってきます。まるで、会いたくても、会えない大切な人に恋焦がれるように。
そうなったら、あなたも瞑想家の仲間入りです。
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