自分を後まわしにしていませんか?
今年の英国は、リンゴが豊作のようだ。
うちの周りでは、
重そうに枝がしなり、
おいしそうなリンゴが実っている大きな木をよく見かける。
「ご自由にお持ちください」
と、そのお宅で
食べ切れないリンゴを籠いっぱい、
ご近所さんが庭先に出しているのを見かけた。
こちらのリンゴは、生食用と料理用に分けられる。フジと紅玉のようなものだが、その種類は2500種もあるという。これはディスカバリーという名の生食用らしい。
良いものを「発見」した、とばかりに、散歩の途中で1つリンゴをいただいて、お行儀が悪いが、まるかじりして考えた。
酸味の強い素朴な味、
甘いばかりではなく
奥行きのあるフレッシュな香り。
食べ終わると、芯に種が見える。
わたしたちはリンゴのようなものではないか。
一人ひとりが小さな種をいくつか内側に隠し持つリンゴなのだ。
不揃いのリンゴのように、色も形も、持ち味も違えば、得意分野も違う。
リンゴの芯にある種のうち、
どれが芽を出すのか?
どの種が、幹を伸ばし、枝を広げ、花咲かせるのかは、今はまだ分からない。
夏の終りに青い実をつけたとしても、土壌・陽あたり・水やりなど、いろいろな条件によって、おいしいリンゴになるかどうか分からない。熟しておいしくなる前に、台風が来るかもしれないし、鳥に食べられてしまうかもしれない。
それでも種が、いずれ花を咲かせ、おいしい実がなる可能性を広げるために、できる限りのことをしておきたいと思うのだ。
種まきとして、
これまでわたしが選んできた
学びの場を思い出してみる。
自営業のわたしの場合、研修やトレーニングなどを選ぶとき、ちょっと未来の自分に相談して決めてきた。近い将来、なりたい姿に近づくために、足りないスキルを補うという視点で、左脳的に決めるこもある。
それとは逆に、よく分からないけど、心がワクワクする講座を直観で右脳的に選んだときもあった。
内なる声に耳を傾けて、どんなに微かなささやき声でも聴き逃さなかったときの、そんな学びは、なぜだか人生の転機になったことが多い。
わたし達の悩みは、多くの場合、自分よりも他の誰かを優先せざるを得ないことによって生じる。
たとえば、
日々の暮らしを回すだけで余裕がない。
仕事が忙しい。
上司を立てなきゃ。
子供の学校や、パートナーの都合、
親の病気など……
自分の成長のために
時間を割いたり
お金を投資したり
エネルギーをかけたりすることが
難しいと感じるのは、
こういった理由によるところが大きく
みんなにとっての課題だろう。
2020年は身の周りが、ものすごいスピードで変わっていき、昨日までの常識が通用しない時代に突入した。
そんな先行きの見えない時代だからこそ、頼りになるのは自分のスキルと健康だ。自分が最大のアセット、代わりの効かない「元手」なのだから。
だからこそ、
これまで周囲を優先してきたあなたに、
今こそ
自分の成長を最優先事項にしよう
とあえて言おう。
心のささやき声に耳を傾けよう。
別の言いかたをすれば
「誰かのため」から
「自分のため」へ
方向転換したら、どうなるだろう?
と考えるだけでも、違う視界が開けるかもしれない。
肚の声を聴くために、この質問をしたい。
「自分を後まわしにしていませんか?」
もちろん、お金を無駄遣いしないことは大切だが、ただ使って終わりの「消費」ではなく、将来的に何倍にもなって戻ってくるような「投資」をすることが賢明だと考える。
しかも自分の成長、
つまり
「自分が変わる力」に投資するのが
賢いお金・時間・エネルギーの使い方だと思う。
身についたスキルは
どこに行っても、応用の利くもの。
どんな会社や職場でも、
よその町に引っ越しても。
加えて、
しなやかな心と丈夫な身体があれば、
世界中どこでも、
身ひとつで自分の居場所を創れるのではないだろうか。
わたし自身は、コロナを機に、
話す力と書く力を鍛えようと思い
「コミュニケーション美人」になると決めた。
わたしという
リンゴの種を育てるために。
自分自身の可能性を発見するために。
そして
未来の自分を助けるために、
変わる力を育てる環境を
デザインしたいと思っている。
収穫の秋を待ち遠しく感じながら、
ふさわしい土壌を、
環境を選び、
自分の成長を最優先しよう。
そして遠からず、
その中のいくつかの種が芽吹き、
大木となり、花を咲かせ、
おいしいリンゴが実のるように、
水や栄養をやろう。
「自分を進化させる」と決めると、
それと相容れないものごとが出現するもの。
大風や日照りのように
急な仕事や家族の都合など、
志が試されるようなことが起こるかもしれない。
それでも自分の成長にコミットするために
ふさわしい環境を選ぶことが、
何よりも重要だと感じている。
変わりたい・成長したいという
気持ちの種を育てる。
近未来に向けて投資をする。
それが、自分の成長を最優先するということ。
帰り道、
リンゴでいっぱいの籠に添えてある
手書きのメッセージを、再び読むと
「ヘルプ・ユアセルフ」
自分を助けるのは、わたし自身なのだ。
この記事が参考になったら
↓